2023.03.02
オンボーディングとは?カスタマーサクセスで重要な理由や進め方を解説
カスタマーサクセスを成功させるためには、オンボーディングが重要といわれます。さらに昨今はオンボーディングにも、デジタルファーストの考え方が浸透していることはご存じでしょうか。
本記事では、オンボーディングがカスタマーサクセスにおいて重要な理由や成功させるポイント、デジタルファーストに沿った進め方について解説します。オンボーディングが成功した具体例も解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
- カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの意味とは
- オンボーディングがカスタマーサクセスで重要な理由
- オンボーディングを成功させるポイント
- デジタルファースト(デジタルタッチ)に沿ったオンボーディングの進め方
- オンボーディングを改善する方法とは
- カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの成功事例を紹介
- まとめ
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの意味とは
オンボーディングとは、もともと「新人研修」を示すビジネス用語ですが、カスタマーサクセスにおいても用いられます。カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは、サービスを使い始めた顧客が使用方法や機能を理解できるようにサポートすることです。利用者に対してできるだけ早く迷わずにサービスを使えるよう状態になるようにフォローして、顧客内での製品やサービス定着を目指します。
オンボーディングがカスタマーサクセスで重要な理由
オンボーディングはカスタマーサクセスの導入期に関わるため、顧客を製品・サービスに定着させるために重要です。また顧客満足度の向上やアップセル・クロスセルの成約率向上にもつながるメリットがあります。本項ではオンボーディングがカスタマーサクセスで重要な理由を詳しく解説します。
カスタマーサクセスの導入期に関わるため
顧客が一定期間の継続利用に至るまでには「導入期」と「活用期」を経ます。オンボーディングは、顧客が導入期を乗り越え活用期に到達した状態を目指す取り組みです。
つまりオンボーディングで失敗すると、カスタマーサクセスが初期段階で躓くことになります。カスタマーサクセスを成功させるためには、導入期と関わりの深いオンボーディングの充実が不可欠です。
顧客満足度を向上できるから
オンボーディングで良い顧客体験を提供できると、顧客満足度の向上を達成でき解約数を減らせます。SaaS型ビジネスなどにおいて、製品・サービス導入時の初期段階で、機能や使い方にわかりづらい点が多いと顧客にネガティブな印象を持たれてしまうため注意しましょう。オンボーディングにより初期段階の顧客が抱く疑問を解消し、使いづらさで感じるストレスを払拭することが大切です。また、オンボーディングを通して顧客にワクワクしてもらい、活用期以降で前向きに製品・サービスを活用してもらうための土台を作っていきます。
アップセルやクロスセルの成功につながるから
アップセルとは、顧客が現在利用しているサービスよりも、高単価のサービスを購入したり、利用数が増えることによる新たな売り上げ創出です。またクロスセルとは、顧客が現在利用しているサービスとは別に、関連性の高いサービスを購入することをさします。
オンボーディングを実施すると、アップセルやクロスセルの成功につながりやすい理由は次のとおりです。
- 顧客が契約したサービスを十分に使いこなせるようになると、サービスの機能やデータ容量に対して新たなニーズが生じる可能性があるから
- カスタマーサクセスの担当者が顧客の利用目的や満足度を把握でき、顧客に寄り添ったサービスを提案できるようになるから
将来的なアップセルやクロスセルにより売上の増加につなげるためにも、最初のオンボーディングで良い顧客体験の提供と正しく製品・サービスを使ってもらうことが非常に大切です。
オンボーディングを成功させるポイント
オンボーディングを実施して、可能な限り早く製品・サービスを使えるように顧客を導くことが大切です。出来るだけ早くオンボーディングを完了することにより、顧客が次の更新までに製品を利用して価値を感じる期間も長くなります。そのため、オンボーディングの期間も非常に重要なポイントになり、効率良く実施することが必要になります。
ここでは、オンボーディングを成功させるポイントを解説します。
ゴールやマイルストーンを設定する
オンボーディングを開始する際は、達成したいゴールやマイルストーンを設定することが大切です。オンボーディングにおけるマイルストーンとは顧客が製品・サービスの利用を開始して、使い慣れるまでに達成すべき中間目標です。少なくともマイルストーンには、次の項目を含めたほうがよいでしょう。
- 顧客が実装していた従来システムから自社提供の新しいシステムへの移行が完了した
- 顧客が技術的なセットアップについて要件を満たした
- 自己学習もしくは個別コンサルでサービスに関するトレーニングを完了した
顧客が自社サービスの利用について基本事項を押さえられているのかをしっかりとチェックしましょう。
オンボーディングプロセスの改善点を把握するために、効果を測定出来るデータを収集する
オンボーディングの成果を把握するためには、効果を測定するためのデータの収集と分析が必要です。たとえば次のようなデータを収集するとよいでしょう。
- 新規クライアントのオンボーディング完了までの日数
- 重要なマイルストーンを達成するまでの日数
- オンボーディングの過程における顧客とのやり取りの数
顧客から定性的なフィードバックを得ることで、プログラムの穴を発見し、データポイントでは発見できない可能性のあるより良い決定を下すことができます。オンボーディングは、顧客が製品や会社を実際に体験する最初の段階であることを忘れないでください。オンボーディング プロセス中にあなたが与える印象は、残りの顧客ライフサイクルを通じて顧客の心に残り、顧客の満足度に影響を与えます。データを経時的に観察して各項目が改善しているかどうかを追跡し、オンボーディングの改善に役立てることをおすすめします。
デジタルファースト(デジタルタッチ)に沿ったオンボーディングの進め方
ビジネスにおいてデジタルファーストとは、デジタル化を優先して業務を行うことです。オンボーディングにおいてもデジタルファーストの考え方が浸透しており、従来とは異なる取り組みが行われるようになりました。ここでは、オンボーディングにおけるデジタルファーストについて解説します。
デジタルファーストとは(デジタルタッチ)
現在のオンボーディングでは、デジタル化による運用の効率化が重要視されています。
その理由は、カスタマーサクセスの目的として売上継続率の向上に主眼が置かれるようになったからです。売上継続率はNRR (Net Revenue Retention) や NDR (Net Dollar Retention) とも呼ばれ、繰り返し発生する収益をどのくらい維持しながら拡大しているかをパーセンテージで示されます。
それら新たな拡大につなげるための活動に注力するために、さまざまな業務の効率化が求められています。オンボーディングもその一つです。全ての顧客が通るオンボーディングをデジタルによる業務効率化がより一層求められています。
カスタマーサクセスでデジタルファーストを推進する場合、従来のように顧客ごとにハイタッチやロータッチと分けてオンボーディングを実施するわけではありません。全ての顧客にデジタルタッチを取り入れて対応することが重要です。
つまり現在は、デジタルとヒューマンタッチを両立させたオンボーディングの取り組みが求められています。
オンボーディングを改善する方法とは
実際にオンボーディングを実施した後は、顧客の課題を見つけ出し改善を試みましょう。
まずは顧客がサービスを使いこなせない理由や、オンボーディング完了までに時間がかかってしまう理由を考えるとよいでしょう。
例えば、以下のようなコンテンツを用意することでより効率よく、顧客満足度を高めることが可能です。
- 分かりやすいログインチュートリアル
- Emailなどを活用した顧客のオンボーディングのプログラム
次に、顧客の満足度向上につながるようにオンボーディングを改善しましょう。その際に顧客ごとに次の点を考慮することが重要です。
- 顧客がサービスを利用する目的や背景
- 顧客のITに関する知識のレベル
- 顧客が実装していた従来システムの動作環境がまったく異なる点
デジタルタッチも取り入れながら、定期的なコミュニケーションを実施して、まずは顧客の状況把握に努めましょう。
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの成功事例を紹介
オンライン名刺のサービスを提供するSansanや世界的なIT企業であるWorkdayがオンボーディングを成功させて業績を伸ばしました。それぞれの成功事例について解説します。
Sansan
Sansanでは、創業当初からカスタマーサクセスを重要視する風土を持っています。しかしサービス導入後の顧客状況を把握できずに、カスタマーサクセスを最適化できない点で課題を抱えていました。
そこでプラットフォームで顧客情報を一元管理するために、ツールの導入に至りました。顧客の状態を正しく把握し、次に提供する情報が明確になることで全ての顧客に対して統一されたオンボーディングの提供ができるようになりました。また、所定のオンボーディングステップの手前でお客様宛にメールが配信され、お客様側で実施していただくべきアクションがない際にカスタマーサクセスマネージャーに通知が飛び、アクションにつながるため、属人化しやすかったカスタマーサクセスの業務効率化にも貢献しています。ここにデジタルも活用することで現在では、20%のオンボーディングの自動化に成功しています。
Workday
Workdayではビジネス成長に伴い、カスタマーサクセスマネージャーは増加する顧客に対して、より迅速かつスケーラブルにオンボーディングを実施する必要が出てきました。またオンボーディングプロセスは非常に時間がかかり、オンボーディング完了までには6ヶ月以上かかっていました。
そこでカスタマーサクセスチームは1:他のテックタッチソリューションを導入しました。このことによりオンボーディング業務が効率化され、オンボーディングのプロセスは6ヶ月から16週間に短縮に成功しました。その効率化された時間を活用し、カスタマーサクセスマネージャーは顧客との関係構築や付加価値の高い活動に集中することができるようになりました。またテックタッチを活用して、顧客が価値の高い機能の紹介をすることで、早期に製品の価値を感じてもらえるプログラムを作成しました。
まとめ
オンボーディングは顧客が一番最初に受ける体験です。そこでいかに良い顧客体験を感じ、正しく製品・サービスを理解し、1日でも早く製品・サービスを使い始められるか。
そのためには各顧客の状態を理解し、デジタルも活用しながら効率良くオンボーディングを完了させる必要があります。その結果として良い顧客との関係値構築になり、将来的にはアップセルやクロスセルなどの拡大に繋がります。
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慶應義塾大学卒業後、大手ハードウェア企業のエンタープライズ営業として新規と既存営業の業務を経験。その後スタートアップ企業にて様々なロールを経験する中でカスタマーサクセスというコンセプトに出会い、惚れ込む。2015年からはアドビにてカスタマーサクセスに従事。担当カスタマーサクセスマネージャー、カスタマーサクセス部門のマネージャー、シニアマネージャーを経て、カスタマーサクセスの実行とそれを実現するために必要な要素/組織について学ぶ。2022年にGainsight Japanに入社し、カスタマーサクセスチームを牽引。