2023.09.29
多数の顧客に対する価値実現の青写真を描く方法
顧客があなたから購入すると契約が結ばれます。そこにはこう書かれています。「あなたは、自社のプロダクトやサービスを提供するだけでなく、その投資を活用することで、顧客が自らのビジネスに求めているプラスの成果を提供することを約束します」。顧客中心主義の企業にとって、価値実現までの道のりは、顧客との最初の取引と長期的な関係構築の間の重要な架け橋となるのです。
顧客にとっての価値実現と検証可能な成果を確保するという考え方は確立されていますが、これを大規模に達成するための道筋は、まったく別の命題です。カスタマーサクセス(CS)プログラムを立ち上げた当初は、個々の顧客に価値を提供できるような個別対応やオーダーメイドの戦略を提供するのが一般的です。しかし、数百、数千の顧客に対して一貫した価値を提供するとなると、課題はさらに大きくなります。
Gainsightのウェビナーに登壇したマッキンゼーのアソシエイトパートナーであるケリー・グリーンバーグが、多数の顧客に対する価値の実現方法に関する展望とアドバイスを次のように説明してくれました。
価値実現こそカスタマーサクセスである
顧客との契約を更新し、成長させる最も効果的な指標は、顧客が自社のプロダクトやサービスから価値を確実に受け取ることです。ハイタッチカスタマーサクセスモデルとデジタルカスタマーサクセスモデルのいずれを適用しているかにかかわらず、CSチームは、価値の実現にさらなる支援が必要と思われる顧客を積極的に特定する必要があります。
初期段階では、アダプションチェックインや四半期ごとのビジネスレビューなどの戦略が、顧客の成功を支援し、継続率を高める上で重要な役割を果たします。しかし、ビジネスが成長し、顧客基盤が拡大するにつれて、個社ごとのカスタムメイドのやり方から、幅広い顧客全体に適用できるようなやり方に進化しなければなりません。
多数の顧客に価値を届けるには異なるアプローチが必要です。自動化、データに基づくインサイト、戦略的フレームワークなどです。これらを活用して、すべてのカスタマージャーニーが検証可能な成果に導かれるようにします。
効果的な成果管理プログラムを開始する
価値実現を顧客ベース全体に対して拡大しようとする場合、最初のステップは、顧客にとって具体的なプロダクト・サービスの明確な価値提案の中身を確認することです。サクセスプランで測定可能で現実的なアクションと評価指標を定義することで、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)は具体的な成果を出すことに集中できるようになります。
プレイブックやタッチポイントのデジタル化は不可欠ですが、企業はそのプロセスを急ぐべきではありません。オンボーディング時の顧客教育など、カスタマージャーニーの特定の領域を選択し、自動化を優先して人的接触を時間をかけて縮小する計画を設定します。
自動化や生成AIなどのテクノロジーへの投資は不可欠です。カスタマージャーニーのさまざまなフェーズで成果を拡大するために、カスタマーサクセスプラットフォームの機能をどのように活用するかについて、明確なロードマップを用意しておきましょう。
継続的なインパクトを生み続ける
成果を拡大する中核となるのは、より小規模で集中的なタッチポイントで達成されたインパクトを複製し、増幅する能力です。大規模なCSプログラムでは、企業はテクノロジーと自動化を活用することで、CSMに直接アクセスできない顧客でも必要なサポートを受けられるようにすることができます。ナレッジベース、チュートリアル、オンラインコミュニティなどのセルフサービスリソースは、顧客が独自に価値を実現できるようにし、ピアツーピアのナレッジ共有を促進します。
さらに、CSチームとプロダクトマネジメントやマーケティングなどの他部門とのコラボレーションは、価値提供プロセスを強化します。プロダクトのテレメトリーデータにより、チームは顧客の行動を理解し、課題に対処し、プロダクトを継続的に改善することができます。そして、マーケティング、営業、CSチームは、このデータに基づいて、エクスパンション主導型のパーソナライズされたキャンペーンを編成することができるようになります。
多数の顧客に対する成果の最適な提供方法を見つけ出すことは、マッキンゼーが「カスタマーサクセスの3つの “R”」と表現するものを達成することにつながります。
- 顧客の維持(Retaining Customers):カスタマージャーニーを通じて繰り返し価値を提供することで、長期的な顧客との架け橋となります
- 営業への機会紹介(Referring opportunities to Sales):カスタマーサクセスは、営業部門と連携して成長を促進し、顧客企業内の自社プロダクトの利用拡大を支援します
- 価値の実現(Realizing value):大規模な価値の実現と成果の真のメリットは、更新、アドボカシー、既存顧客と新規顧客からの複合的な収益成長という好循環を生み出すことです
CSプログラムのあらゆる側面を拡大するジャーニーは、長期的な取り組みです。一朝一夕には実現しませんが、意図的にそれを達成しようとしない限り、実現することもありません。具体的な事例を通じて実現方法を学びたい方はこちらのウェビナーをご参照ください。