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カスタマーサクセス組織構造の究極のガイド

“ちょっとお電話するお時間がありますか?当社のカスタマーサクセス組織についてご意見を伺いたいのですが。”

Calling Lady Gaga GIF by MOODMAN

私は、Gainsightを運営してきた9年間で、SaaSのCEOからこのようなメールやテキスト、LinkedinのDMを少なくとも500通受け取りました。私は、このようなメッセージを受け取るのが大好きです。CEOがカスタマーサクセスに傾倒しているのを見るのは、とても励みになります。

しかし、このようなリーダーたちの時間を節約し、富を広めるために、私は自分のトークトラックを書き留めることにしました。

CEOやリーダーたちは、カスタマーサクセス組織のあり方について、必ずと言っていいほど次のような共通の質問を持っています。

  • カスタマーサクセスの戦略はどうあるべきか?
  • カスタマーサクセス組織はは誰にレポートすべきか?
  • カスタマーサクセスのリーダーには何を求めればよいのか?
  • CSMのプロファイルはどのようなものか?
  • 誰が更新商談を担当すべきか?
  • 拡張商談を担当するのは誰か?
  • CSMの評価と報酬はどうすべきか?

それでは、掘り下げていきましょう。

Seinfeld gif. In Jerry's kitchen (where else?) Michael Richards as Kramer speaks to Jerry with the usual jittery enthusiasm and a thumbs up. Text, "A long, drawn-out 'giddy-up!'"

モデル1:ハイタッチビジネスを展開するスタートアップ

企業のプロファイル:シード期またはシリーズA/Bのベンチャー企業で、顧客の平均契約額が7万5千ドル(約900万円)以上であること。

カスタマーサクセス戦略:あなたの今の仕事は、大成功を収めた顧客を獲得し、その顧客が大きな支持者になってくれることです。この仕事ほど重要なものはありません。

カスタマーサクセス組織のレポートライン:カスタマーサクセスのリーダーは、間違いなくあなたの直属の部下であるべきです。あなたは、初期の顧客と密接な関係にある必要があります。

カスタマーサクセスのエグゼクティブ・プロフィール:カスタマーサクセスのリーダーは、正面からリードし、顧客に対して驚くべき存在であるべきです。あなたは大きなチームを持っていない可能性が高いので、彼らは世界トップクラスでなければならず、あなたが顧客と共にスケールするのを助ける必要があります。また、顧客企業の経営幹部とつながる方法を知っており、同じ方法をチームに教える必要があります。彼らは、キャリアの初期に戦略コンサルティングなどの環境で経験を積み、「ハイタッチ」なクライアントサービスを学んでいることが求められます。面接では、彼らがどのように考えているかを確認するために、架空のエグゼクティブとの打ち合わせをリードするよう依頼することも検討してもいいでしょう。

CSMプロフィール:同様に、CSMは、複雑なビジネス関係に強い必要があります。経営コンサルティングの経験は必要ありませんが、必要なスキルは “コンサルタント “であることです。クライアントのビジネスを理解し、クライアントのゴールとCSMの提供するサービスを結びつけて、複数のステークホルダーが納得できるような道筋を構築する必要があります。

更新商談のオーナーシップ:まだ更新はあまり多くありません。そのため、この段階では営業が引き続き更新のオーナーシップを持つことをお勧めします。そうすることで、CSMは顧客の導入、成果、支持に焦点を当てることができます。

拡張商談のオーナーシップ:同じ理由で、営業は引き続き拡張を担当すべきです。実際、ハイタッチ・ビジネスでは、拡張商談は長期的なリレーションシップ・マネジメントの重要な部分となります。

CSMの評価と報酬:CSMがフォーカスできる指標を選びましょう。これらは、活用促進(例:アクティブユーザーの数)、成果(例:実証されたROI)、顧客からの支持(例:NPSや紹介)に関連付けることができます。これらをカスタマー・ヘルススコアにまとめ、CSMがクライアントの健康状態を改善することに焦点を当てることができます。

モデル2:ロータッチビジネスを展開するスタートアップ

企業のプロファイル:シード期またはシリーズA/Bのベンチャー企業で、顧客の平均契約額が7万5千ドル(約900万円)未満であること。

カスタマーサクセス戦略:クライアントにソリューションを採用してもらい、そこから価値を実証する必要があります。それと並行して、将来の投資家にとって魅力的なユニットエコノミクス(GRR=総収入継続率など)を実証する必要があります。

カスタマーサクセス組織のレポートライン:カスタマーサクセスのリーダーは、間違いなくあなたの直属の部下であるべきです。

カスタマーサクセス・エグゼクティブのプロフィール:カスタマーサクセスのリーダーは、規模拡大のためのプロセスを確立することに長けている必要があります。商談数が多い場合、顧客獲得、定着・活用促進、顧客維持の最適化のための効果的な方法を確立する必要があります。CS リーダーは、以前にも同様のビジネス・プロファイルで仕事をしたことがあるのが理想的です。また、新進気鋭のリーダーであり、これが最初のリーダーとしての役割となる場合もあります。

CSMプロフィール:CSMは、リレーションシップ・マネジメント、製品専門知識、プロジェクト・マネジメントなど、マルチタスクに対応できる素養を備えている必要があります。CSMは、過去に他のクライアントサービスの職務を経験していることが望ましいです。

更新商談のオーナーシップ:CSMは最終的には更新商談を担当するかもしれませんが、この初期段階ではそうではありません。このため、CSMは顧客維持のための本質的な指標のみに集中することができます。

拡張商談のオーナーシップ:同じ理由で、営業は引き続き拡張を担当すべきです。実際、ハイタッチ・ビジネスでは、拡張商談は長期的なリレーションシップ・マネジメントの重要な部分となります。

CSMの評価と報酬:CSMがフォーカスできる指標を選びましょう。これらは、活用促進(例:アクティブユーザーの数)、成果(例:実証されたROI)、顧客からの支持(例:NPSや紹介)に関連付けることができます。これらをカスタマー・ヘルススコアにまとめ、CSMがクライアントの健康状態を改善することに焦点を当てることができます

モデル3:ハイタッチビジネスを展開する成長企業

企業のプロファイル:成長段階の民間企業または上場企業で、顧客の平均契約額が7万5千ドル(約900万円)以上であること。

カスタマーサクセス戦略:顧客の価値、成熟度、成果を常に向上させる必要があります。この価値によって、顧客は継続し、成長したいと思うようになります。現在では、ネットリテンションにより重点を置いています。

カスタマーサクセス組織のレポートライン:あなたの直属のチーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)を雇いましょう。この人物は、販売後のすべての責任(カスタマー・サクセス・マネジメント、サポート、プロフェッショナル・サービス、トレーニング)をその下に置く必要があります。

カスタマーサクセス・エグゼクティブのプロフィール:CSのリーダーは、規模に応じた世界クラスの顧客サービスがどのようなものかを知っている必要があります。また、営業や製品開発との連携に長けている必要があります。また、経営コンサルティングなど、顧客との接点が多い職種でキャリアをスタートさせていることが望ましいです。

CSM のプロフィール:CSM は、ビジネスバリューと成果に重点を置いています。CSM は、クライアントの目標達成に向け、社内全体の業務を調整することに長けています。また、エグゼクティブコミュニケーションに優れています。

更新商談のオーナーシップ:CSMが更新商談を担当しないことが望ましいです。しかし、特に拡大が見込めない顧客については、営業チームからアカウント・マネジメントまたは更新業務専門の組織に更新商談の責任を引き離すことができます。

拡張商談のオーナーシップ:一般的には営業チームが対応します。ただし、ベンダーが提供するサービスのほとんどを顧客が既に持っている場合は例外です。このような場合、顧客はアカウント・マネジメント・チームがカバーすることもあります。

CSMの評価と報酬:チームレベルでの先行指標(例:クライアントのビジネス成果)とネットリテンションの組み合わせになります。

モデル4:ロータッチビジネスを展開する成長企業

企業のプロファイル:成長段階の非公開企業または公開企業で、顧客の平均契約額が(約900万円)未満の企業。

カスタマーサクセス戦略: チームとしての効率を高めつつ、売上維持率を維持・向上させ、クロスセルの機会を増やす必要があります。

カスタマーサクセス組織のレポートライン:チーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)は、販売後のすべての責任を負い、CEOに直接報告します。そうでない場合は、その下に営業部門を置く社長のような役職にレポートします。CSと営業が対等な立場でいることが重要です。

カスタマーサクセス・エグゼクティブのプロフィール:CSのリーダーは、オペレーションの達人です。インプットの分析、戦略の定義、目標の設定、そしてチームの結集において卓越しています。また、リーダーやチームを成長させることに長けています。

CSMのプロフィール:CSM は、プロセスとボリュームに強いことが必要です。時間が経つにつれて、CSMはより多くのアカウントを持つようになり、タイムマネージメントとタスク整理に優れていることが必要です。

更新商談のオーナーシップ:これらの企業のCSMは、時間の経過とともに、更新商談のオーナーシップを持つようになることが多いです。

拡張商談のオーナーシップ:同様の理由で、CSMは小規模な拡張商談(ライセンス追加など)を担当することが多いです。

CSMの評価と報酬:グロスリテンションまたはネットリテンションに重点を置いていることが多いです。

モデル5:テクニカルバイヤーを持つ企業

企業のプロファイル:技術系バイヤー(DevOpsやセキュリティなど)に販売する会社です。

カスタマーサクセス戦略 :従来のCSM手法(例:ミーティングやビジネスレビュー)が有効でないことを承知の上で、ソリューションの粘着性を高める必要があります。

カスタマーサクセス組織のレポートライン:チーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)は、ポストセールスに関するすべての責任を負い、CEOに直接報告することができます。また、プリセールス(セールスエンジニアリング)を担当し、カスタマージャーニー全般を統括することもあります。CEOの直属でない場合は、その下に営業部門を置く社長のような役職にレポートします。CSと営業が対等な立場でいることが重要です。

カスタマーサクセス・エグゼクティブのプロフィール:CSのリーダーは、技術的な製品を扱う企業で働いた経験が望ましいです。彼らは、CSMとテクニカルサポート、製品/エンジニアリングチームとの連携に非常に長けています。また、技術系の顧客は時にせっかちなので、簡潔なコミュニケーションを得意とすることも求められます。

CSM のプロフィール:CSM は、セキュリティ・ベンダーの元セキュリティ担当者など、何らかのドメイン経験を持つバックグラウンドを持っていることが多いようです。CSM は、製品を詳細に理解し、その技術を顧客のビジネス目標に結びつけることができます。

更新商談のオーナーシップ:このような企業では、CSMは更新を担当しません。更新は通常、営業チームか、最終的には更新専門チームまたはアカウント・マネージメントチームが担当します。

拡張商談のオーナーシップ:同様の理由で、営業チームが拡張案件をコントロールすることが多いです。

CSMの評価と報酬:製品の定着・活用促進、顧客の製品への粘着性、ビジネス上の成果などに応じてインセンティブが支払われます。

モデル6:製品主導の成長(PLG)モデルの企業

企業のプロファイル:製品主導の成長(PLG)モデルで、顧客が誰にも相談せずに製品を試用し、時には購入することができる企業。

カスタマーサクセス戦略:PLGモデルでは、CSとセールスの境界線はより曖昧になります。多くの場合、CSチームの仕事は、小規模のお客様の導入とその育成を支援することです。そして、その顧客は時間をかけてエンタープライズ展開へと成長していきます。

カスタマーサクセス組織のレポートライン:PLG企業では、一人のリーダー(CEOや最高収益責任者(CRO)など)の下に、営業とCSが統合された組織を持つことがよくあります。その下には、カスタマージャーニーの「ポストセールス」部分をすべて管理するチーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)が配置されていることがよくあります。

カスタマーサクセス・エグゼクティブのプロフィール:カスタマーサクセスのリーダーは、大量生産型のビジネスと、意思決定のためのデータ活用の経験を持っています。また、製品チームとの協働にも長けています。

CSMのプロフィール:CSMは、営業開発担当、サポート、セールスエンジニアなど、顧客と接する他の職務の出身者であることが多いようです。

更新商談のオーナーシップ:このような企業のCSMは、更新を担当することが多いです。

拡張商談のオーナーシップ:大規模な拡張は通常、営業に戻されます。場合によっては、CSMが小規模な拡張商談を担当することもあります。

CSMの評価と報酬:先行指標(例:定着率)と結果指標(例:ネットリテンション)の組み合わせになります。

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参考図表

絹村 悠/Gainsight株式会社 代表取締役社長
絹村 悠/Gainsight株式会社 代表取締役社長

1978年生まれ。 大阪市立大学卒業後、 日本ヒューレット・パッカード(現日本HP)に入社。大手法人向け営業を経て、 BtoB Eコマース事業の事業リードとして、 デジタルマーケティングを中心としたリード獲得による顧客開拓から定着までのプロセスを実装。 その後、 2016年にTableau Japanに入社し、 中堅中小領域における営業部門の立ち上げから拡大を通し、 日本におけるデータ活用を中心に据えたデジタルトランスフォーメ ーションを推進。 直近では株式会社セールスフォース・ジャパンにて、 執行役員 Tableau事業部 コーポレート営業本部 本部長を務めた後、 2022年Gainsight株式会社に入社、 代表取締役社長に就任。