ブログ

AIを活用した企業のカスタマーサクセス責任者(CCO)の一日

GainsightのCS責任者、和久井かおりが、大きなプレッシャーと莫大なデータ、そしてお客様からの要望にどのように対処しているか、その1日を見てみましょう。

GainsightのCSの責任者として、多くの顧客の動向を把握し、複数の顧客対応チームを管理し、世界クラスの体験を提供すると同時に、収益を最大化することが求められます。これだけ聞くと大変そうに思えるかもしれませんが・・・実際にやるべきことは本当に多いです。

しかし、AIのおかげで、もう不可能なタスクではなくなりました。

AIは私の秘密兵器となり、以前は無理ゲーのように感じていた仕事が、洗練された業務へと変わりました。AIはカスタマーサクセスの中心にある「人間のつながり」を置き換えるものではなく、それを強化する存在です。煩雑な作業を自動化し、重要なインサイトを浮き彫りにすることで、AIは私にとって本当に大切なこと—関係構築、問題が大きくなる前に解決すること、そして自信を持って戦略的な意思決定を行うこと—に集中させてくれます。

それでは、私の1日を見ていきましょう。

まずはSlackでAIベースのアラートを受け取り、その内容を確認するところから1日がスタートします。

Slackでのアラート確認

毎朝、SlackでGainsightのStaircase AIから届くアラートをチェックしています。Staircase AIは、メールやミーティング、チャットなどをシームレスに連携し、膨大なインタラクションを分析してインサイトを提供してくれるプラットフォームです。

重要な問題をリアルタイムに発見

成功事例やポジティブなフィードバックを見ると嬉しいですが、時にはプラットフォーム問題による影響を示すアラートが届くこともあります。こうしたリスクを早期に把握し、迅速に対応することで、顧客の信頼を守ることができます。

AIによる分析を確認する

Staircase AIとSlackアラートから下記を確認します。

  • 企業ごとの感情変化を追跡し、不満が深刻化する前に検知
  • エンゲージメントの傾向や緊急性のあるシグナルに基づき、即対応が必要なアカウントを特定
  • 顧客経営層の反応をモニタリングし、潜在リスクを予測

詳細な情報から過去の対応策まで一箇所で全てを解決

一連のアラートや通知の確認が終われば、AIが提供するリスクのある顧客のより詳細な分析情報や傾向を確認します。Staircase AIとGainsight AIを活用することで、次のような効果を得られています。

  • 同様の課題があった過去の事例を特定し、実証済みの解決策を迅速に適用。
  • 特定顧客への影響を分析し、適切に対応策を設定。

複数の情報源からデータを集める必要がなく、Gainsight AIが状況を一目で把握できるようにしてくれます。リスクの高い顧客やその懸念事項が明確になり、効果的なコミュニケーションが可能になります。

緊急対応だけでなく、AIは顧客会話のトレンドを分析し、新たなリスクの範囲も監視してくれます。製品バグやサポートのギャップ、顧客感情の変化などを検知し、問題の規模を評価、優先順位を設定し、チャーンを未然に防ぐ手助けをしてくれます。

さあ、リスクに対処したら、次は、今日ある、解約リスクのある重要な顧客との打ち合わせに向けた準備です。

打ち合わせに向けた準備 – 効率的に顧客価値の高い内容を

ハイタッチ型の大手顧客との次回EBR(エグゼクティブビジネスレビュー)の準備に移ります。

今までは、EBRのためにメンバーが事前にデータを集めて、私が話す内容のレビューの時間をとり、更にはここ3ヶ月で起きたことを全部説明していました。なんて無駄な時間だ…と全員が思いながらも、それをやらない限り、顧客にとってよい打ち合わせにならず信頼を獲得できなかったのです。

今は、チームがAIツールを使って、必要なインサイトをすでにまとめてくれているので、私自身で手作業の準備をする必要はありません。

ざっと見る限り下記のような課題が見つかり、EBRでのトピックが決定されます。いくつかはEBRまでに解消すべき課題のようです。

  • 直近の四半期でヘルススコアが低下している
  • API統合に関するサポートチケットが3件オープン中
  • 主要機能の実装が最近完了した
  • 6か月後に更新が予定されている

さらに、顧客との関係性も確認しておきましょう。下記のようなことが確認できます。

  • 技術チームとのエンゲージメントが増加している
  • 過去四半期にCIOとのやり取りが少ない
  • ディレクターレベルで強固な関係がある

ミーティング準備の中で、Copilotを使って特定のフォローアップも確認できます。例えば、

  • 「前回のエグゼクティブミーティングでの約束は何だったか?」
  • 「チームが最も要望している機能は何か?」
  • 「類似の成功事例として、リファレンス可能な顧客はいるか?」

このようなインサイトを組み合わせることで、EBR(エグゼクティブビジネスレビュー)には万全の準備で臨めます。AIが日常業務に組み込まれているため、私は顧客との深い対話に集中でき、チームは次のアカウント対応に専念できます。

さあ、私もマネージメントとして、他の重要な業務に時間を使いましょう。チームのパフォーマンスの分析です。事業を最大化するために思考を巡らす重要な時間です。

チームのパフォーマンスを分析する – 重要な顧客に時間を使っているか?阻害要素は何なのか?

CSチームをマネージメントすることは、CCOとしての私の役割の重要な部分です。AIはこの領域でも非常に役立ちます。以前は、メンバーが、どのアカウントに時間を消費しているか、また、その背景などはヒアリングをかけないと把握できず、結果、感覚値で運営されていました。

StaircaseのTeam Effortダッシュボードは、リソース配分、チーム効率、アカウントごとのコストと費やされた時間、応答時間などに関するレポートを生成します。

私はCSMがどのようにパフォーマンスを発揮しているか確認するため、Team Effortダッシュボードを使用して分析を実行します。すると、あるCSMは90日間でわずか40回の会議のみを実施、平均メール応答時間も9時間など、エンゲージメント指標がチームのベンチマークを下回っていることが明らかにしました。

一方、別のCSMは90日間で75回の会議、迅速な応答時間、高い顧客満足度、アカウント全体での強力なマルチスレッディングを示しました。

このコントラストは、チーム構造におけるベストプラクティスと改善領域を特定するのに役立ちました。おそらく最も重要なのは、CSMの評価プロセスをより客観的でデータドリブンに行い、CSMのアクションをビジネス成果により直接結びつけることができることです。これにより透明性が生まれ、チームメンバーの目標、インセンティブ、パフォーマンス指標を確立することがはるかに容易になります。

取締役会への報告と戦略的計画

チームマネージメントの後、更に厄介な仕事が待っています。今週末に迫った取締役会会議や戦略的計画セッションの準備です。

四半期ごとの取締役会会議の準備をするとき、Staircaseの分析を使用して、ポートフォリオ全体の関係性健全性傾向、セグメント全体のリスク分布、チームパフォーマンス指標、顧客エンゲージメントパターン、解約の理由を示します。

また、Copilotを使用して「今四半期で一番大きなクロスセル商談は何ですか?」「顧客が解約またはダウンセルする一般的な理由は何ですか?」「過去1年間のヘルススコアの傾向を示してください」「顧客フィードバックの一般的なテーマは何ですか?」などの関連コンテキストをすばやく取得します。

AIの助けを借りて、取締役会との会議の準備ができています。会議準備中、Staircaseは企業セグメントが前四半期と比較して30%多くのマルチスレッド関係を持っていることを強調しました。取締役会メンバーがその指標の影響について尋ねたとき、それがより高い維持率と拡大機会とどのように相関しているかを迅速に示すことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?CSの責任者として事業成長を正しくリードするためには、CS組織の役割の拡大にあわせて、広範囲なデータを活用する必要があります。

かつては、データに基づく判断を諦めてしまい、感覚的な意思決定を行っていた時代もありました。

今や、それも過去の話です。AIの進化により、迅速に必要なデータを受け取り、意思決定に活用が可能となりました。興味を持った方は、是非、こちらの詳細をご確認ください。