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Lookerはセグメンテーションをどのように行ったか

このブログはLookerの前Global Head of CS Strategic ProgramsであるBrian LaFaille氏が2022年に執筆した記事がベースとなっています。

売上規模によるセグメンテーションの限界

カスタマーサクセス(CS)チームが活動を開始する場合、営業とCSの間で明確な説明責任を果たすために、営業組織と連携することが多いです。次のステップは、ARRに基づいて顧客をセグメント化することです。Lookerでは、当初このアプローチを取りました。そしてそれは理にかなっていました。ARRを最も消費している顧客を保護し、確実に成長させる必要があるという考えからでした。その結果、これらの全ての顧客は担当CSMがアサインされました。そして、それは悪いアプローチではありません。わかりやすく、即座に数値化でき、商談が成約すればすぐに取引金額がわかります。さらに、先の計画を立てたり、商談フォーキャストを見ることもできます。しかし耐久性という観点では、持続可能なアプローチとは言えませんでした。私たちは、このアプローチを大規模に使い始めると、このアプローチに足りない点があることに気づきました。

このアプローチが不十分なのは、高成長が見込めるアカウントを特定できないことです。Lookerの創業初期に、私たちはIBMと契約しました。彼らは12,000ドルの小さなパイロット契約を結んでいました。もしその当時のARR金額だけを基準にしていたら、IBMに担当CSMをアサインすることはなかったでしょう。デジタル主導プログラムの対象企業に入るだけだったはずです。現実には、IBMは世界中に何十万人もの従業員を抱える巨大な上場企業です。関係性を良くすることができれば、このアカウントのARRを拡大する大きな成長機会があるわけです。

顧客を識別するためのセグメンテーションモデルを構築

その後、私たちはARRと従業員数の両方を見るモデルを考えました。この場合、従業員数は成長機会を表します。次に、このシンプルなフレームワークをポイント制に結びつけました。ARR1万ドルにつき1ポイント。従業員1,000人ごとに1ポイント。このポイント制を使うことで、ARRと拡大機会の両方に基づいてCSMを割り当てることができました。従業員数はすべての企業にとって適切な指標ではないかもしれませんが、Lookerでは有効でした。

このポイント制を導入した後、すべての顧客をグループ化し、点数をつけてバケットに分類しました。そして、「何百ポイントも獲得している上位1~2%の顧客は、当然CSMがアサインされるべき候補企業だ 」と社内関係者に宣言しました。中間層や下位層の顧客は、ARRが低いか、ARRはそこそこあるが、会社の従業員数がかなり少ないかのどちらかに分類されました。

このように、顧客を標準化し、ハイタッチまたはデジタル主導のバケットにグループ化できるスコアリングの仕組みを持つことで、Lookerはセグメンテーションにプログラムを使った運用方法を導入し始めました。さらに、この新しいアプローチについてセールスおよびプロフェッショナルサービスと話し合ったところ、完全に意見が一致しました。彼らの反応は、「そうだね、IBMの案件でCSMをつけて欲しいな」というものでした。このような視点や会話は、以前の方法論に欠けていたものでした。

スコアリングモデルの運用

ポイント制を導入し、それをセールス、プロフェッショナルサービス、サポートの各担当者と共有することで、各チームが足並みをそろえ、顧客をスコアリングするための基準点を持つことができました。閾値以上の顧客はCSMがアサインされる候補企業として分類される一方、あるレベル以下の候補企業は、デジタル主導のプログラム対象に入る可能性があります。プログラムにより分類された候補企業も、そこで自動的にセグメントが確定されるわけではないということも強調しておきます。なぜなら、これは出発点に過ぎないからです。もしスコアが基準値を下回っていても、それ以外のビジネスに関係する情報を考慮するケースがあります。例えば、本来なら基準値を下回っている企業の営業担当者やマネジャーが「実はこの会社は今後6ヶ月以内に他の会社を買収する予定だ」といったような追加情報を持って私たちに相談に来たとします。それならいい機会です。担当CSMをつけておいて後で評価しましょう。

ポイント制はよりデータに基づいた方法で社内の会話を導くのに役立ちます。セグメンテーションに関して私たちがやろうとしていることは、企業の評価に定量的な尺度を割り当てることなのです。データドリブンなセグメンテーションは今後ますます普及が進むであろうデジタルカスタマーサクセスにおいても不可欠な要素です。

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