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Notionの全セグメントを対象とした顧客ヘルススコア測定の取り組みについて

How Notion Approaches Customer Health Scoring for All Segments Image

顧客ヘルススコアカードは、顧客の感情、維持、拡大を測定し予測するための重要なツールです。しかし、多くの企業は、初めてスコアカードを設計する際に、そのニュアンスや潜在的な落とし穴を把握できず、つまずくことがあります。

最近のTitans of Scaleウェビナー(英語)では、AIを活用したコネクテッドワークスペースプラットフォームNotionのカスタマーサクセス(CS)リーダーとカスタマーサクセスマネージャー(CSM)の両方から、ヘルススコアに関する見解を伺いました。ディスカッションでは、優れたスコアカードの本質的な特徴、顧客セグメント全体で正確な測定を実施する方法、この重要な企業ツールをサポートするCSオペレーションの役割について議論しました。

ヘルススコアに適切なインパクトを与えるためのフレームワークに従おう

適切に設計されたスコアカードは、CSリーダーとCSMがいくつかの重要な目的を達成するための力となるはずです。第一に、リスクを軽減し、顧客との関係を強化するためのプロアクティブなアクションを提供し、より良い顧客維持予測につなげることです。次に、早急な対応が必要な顧客を明確化することで、アカウントの効果的な優先順位付けを促進することです。最後に、CSMが顧客と関わり、彼らの特定のニーズに対応するための戦術的なアプローチを身につけることです。

Gainsightは、DEARフレームワークを使用して、売上維持率(NRR)の向上と予測を行っています。同様に、Notionは、強固なスコアカードがボトムライン(当期純利益)に与える驚くべき影響を実現するためのプロセスを設計しました。同社は、顧客の健全性を示す重要な指標をすべて含むD-R-E-A-Mモデルを使用しています:

  • 製品導入(Deployment): 利用権の精査を行い、購入したライセンス数と利用されているライセンス数を監視します。
  • 関係性(Relationship): CSMとアカウント・マネージャー(AM)の主観的な視点を評価する定性的な指標です。Notionでは毎月、このペアがアカウントを調べ、顧客との関係性について感じたことをもとにスコアを更新しています。
  • エンゲージメント(Engagement): Notionは、6ヶ月以上ログインしていないユーザーに対して、特定の指標とプレイブックを作成しました。
  • 活用促進(Adoption): Notionは、PLGモデルを採用しており、高い利用率を目標にすることで、製品の粘着性を生み出しています。CSMは、解約リスクの優先順位付けと、顧客ごとに何がうまくいっているかを判断するために、ヘルススコアには製品の活用状況を長期的に反映しています。
  • 成熟した活用促進(Mature Adoption): あらゆる製品のパワーユーザーは、企業にとって多くの価値をもたらします。契約更新の可能性を高めるだけでなく、他の顧客や見込み客への情報提供やエンゲージメントを支援する支持者であることも少なくありません。Notionのチームは、パワーユーザーを特定し、そのデータベースを作成しています。この具体的な行動をスコアカードの指標とすることで、顧客をパワーユーザーという魅力的なセグメントに移行させる方法に、チームを集中させることができます。

ベンチマークを目的としたスコアの閾値を決定するには、現実的な期待値を設定することと、高い水準のパフォーマンスを維持することのバランスが必要です。Notionは、お客様の成功に影響を与える内外の要因を考慮し、定期的にヘルススコアを見直し、調整しています。

セグメンテーションとヘルススコア測定の組み込み

顧客ヘルススコア測定は全ての顧客に一律適用できるものではないことを忘れてはなりません。Notionは、顧客のエンゲージメントレベルがセグメントによって異なることを認識しています。そのため、各顧客セグメントの特性や要件を反映させるために、ヘルススコア測定のアプローチを変更しました。

例えば、Notionは、スケールセグメントのスコアカードを2つのパラメータ、製品導入と活用促進に簡素化しました。これらのセグメントでは、スコアに基づいて起動されるワークフローが異なります。CSMやAMの介入ではなく、マーケティングコンテンツのフィルタリングや、コミュニティやトレーニングへの参加促進など、デジタルCSの戦術が優先されます。

CSMは、セグメントごとに具体的な施策やスコアリングを行うことで、お客様の成熟度に応じた対応を行うことができます。そして、セグメントによって異なる顧客のニーズに基づいてCSMが介入することができます(訳註:全体的には元々定めたルールで区分けし、デジタルに対応する一方、個社ごとの個別ニーズにはCSMが入って対応します)。

Notionでは、最初はシンプルに、そして時間をかけてパラメータを増やしていきました。これには、顧客の健康状態を正確に把握するための定量的・定性的な指標が含まれています。また、自動化されたシグナルに頼りすぎて、手動による対策を怠ったり、微妙な状況を見過ごしたりしないよう、チームは注意を促しました。そうすることで、スコアカードが顧客の健康状態について(良いのか悪いのか判断しづらい)複雑なシグナルを与えることがなくなります。

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