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ヘルススコアカード:はじめて作るときに考えること

お客様ととても仲良く、よく連絡が来てお話しするので、全てがうまくいってると信じていたのに、更新の時になって突然の解約のご連絡をいただく。皆様も経験があるのではないでしょうか。

とても悲しくびっくりしますが、実はよくあることですよね。多くの場合、お客様はあなたの製品がどれほどの価値を提供しているのか分からなかったり、組織内のメンバーがどのようなことに苦労されているか分からないため、普段のお打ち合わせの場で率直なフィードバックをすることができないことが原因です。

そこで私たちはすべてのお客様にヘルススコアカードを作成することをお勧めしています。これは、お客様の満足度と更新の可能性を把握するためのベストな方法なのです。

意味のあるスコアカードを作れたら、以下のような利点が得られます。

  1. お客様とプロアクティブな会話が増える
  2. 解約リスクが軽減される
  3. ビジネス拡大の機会が簡単に特定できる
  4. 更新の予測がより正確になる
  5. その他にも色々と!

CSリーダーとして初めてスコアカードを作成する場合、効果的なスコアカードを作ることが難しいことに気づくかもしれません。Gainsightは効果的なスコアカードの作成に関してコミュニティのなかで多く会話しています。最近のCatapult Webinarでは、Coveo社のカスタマーサクセス担当SVPであるElaine Cobb氏に、たとえ最初のものであっても、有意義で予測可能なヘルススコアカードを作成するために必要なことについてお話を伺いました。

スコアカードを初めて作成する場合でも、既に作成したものを改善する場合でも、スコアカードが有用なビジネスツールとするために、考慮すべき重要な要素があります。

いま必要なデータを明確にする

最初のヘルススコアカードを作成するとき、データは非常に有用である場合もあれば、不必要なノイズを発生させる場合もあります。お客様が貴社の製品の価値を理解するのに役立つ指標を明確にしましょう。以下は、まず最初に収集すると良い指標です。

  1. 製品の使用状況。お客様の契約に対して、製品を使用している人数はどの程度か?
  2. 機能の活用。ユーザーは利用可能な機能や特に強みとなっている機能を活用しているか?
  3. 顧客の感情。お客様は何を言っているか? また、顧客感情が「赤」となった場合、それを好転させるためにどのようなアクションをするか?
  4. カスタマーエンゲージメント。定例の出席率や、エグゼクティブビジネスレビューで活用状況などを共有できているか?
  5. リレーションシップ。エグゼクティブスポンサーは誰か?事例やイベントなどに積極的に参加しているお客様がいるか?
  6. 顧客価値。お客様が貴社の製品から価値を得られいているかを決定するビジネス成果(アウトカム)を決定する。

これらのデータのポイントは顧客の状態を示す先行指標であり、客観的に顧客の状態を監視することができます。そのほとんどはカスタマーサクセスツールを使用して自動化することができ、チームの時間を最適化することができます。

CSM活用を支援する手段として提供する

ヘルススコアカードは、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)がお客様の現状を把握し、お客様が製品やサービスから期待するビジネス価値に対して正しく導くために活用されます。スコアカードを見ることも重要ですが、CSMがその情報に基づいて行動することで、貴社とお客様の両方にビジネスインパクトを与えることができます。最初のヘルススコアカードを設定する際、優先すべきアクティビティをいくつか紹介します。

  1. リスクアカウントレビュー。リスクミーティングやエグゼクティブビジネスレビューの優先順位を設定します。CSMがリスクを早めに検知して共有し、組織として対応することが可能です。
  2. サクセスプラン。ヘルススコアの指標を使用してリスクを特定し、リスクとなっているポイントを解消し、顧客が期待する価値を得るためのサクセスプランを作成します。
  3. プロアクティブなリスク管理。ベンチマークを設定して長期的に変化を監視することで、様々なプログラムの改善とダウンセルや解約のリスク軽減を図ります。もし、数四半期続けて解約が発生した場合はスコアカードを見直し、より正しく予測ができるような指標に変更する必要があります。

徐々に広げていく

顧客基盤が拡大し、カスタマーサクセスプログラムが成熟するにつれて、顧客のヘルススコアをより良く知るための手段や方法が増えていきます。スコアカードに新しい指標(メジャー)を追加する際には、データの整合性を維持できることと、CSMがその指標をもとにアクションができることができるかを考えていく必要があります。

カスタマーサクセスプラットフォームは、プログラムのニーズの変化に合わせて成長させる必要があります。新しい機能を追加する際には、どれをスコアカードに含めるか、また、それらを追加した際に、ヘルススコア全体にどのような影響を与えるかどうかを検討する必要があります。

急がず、少しずつ指標を追加していき、お客様の状態を把握できる良いヘルススコアを作っていきましょう。

皆様のヘルススコアの作成に少しでも参考になれば幸いです。

和久井 かおり/Gainsight 株式会社 カスタマーサクセス ディレクター
和久井 かおり/Gainsight 株式会社 カスタマーサクセス ディレクター

慶應義塾大学卒業後、大手ハードウェア企業のエンタープライズ営業として新規と既存営業の業務を経験。その後スタートアップ企業にて様々なロールを経験する中でカスタマーサクセスというコンセプトに出会い、惚れ込む。2015年からはアドビにてカスタマーサクセスに従事。担当カスタマーサクセスマネージャー、カスタマーサクセス部門のマネージャー、シニアマネージャーを経て、カスタマーサクセスの実行とそれを実現するために必要な要素/組織について学ぶ。2022年にGainsight Japanに入社し、カスタマーサクセスチームを牽引。