ブログ

データを活用したコミュニティの運営方法

カスタマーサクセスとデータは、密接に結びついた関係にあります。正確かつ高品質な顧客データは、カスタマーサクセス担当者の業務を効率化するだけでなく、顧客体験を向上させる鍵となります。
しかし、このデータが「カスタマーコミュニティ」にどのような影響を与えるのかを深く考えたことはあるでしょうか?

Gainsightのイベント「Community Unplugged」では、FeverBee創設者のリチャード・ミルトン氏が、データを活用したコミュニティの立ち上げ、成長、そして効果測定の方法について、専門家の視点から解説しました。数多くの組織のコミュニティ支援を手掛けるミルトン氏の洞察は、コミュニティの真価を理解するうえで非常に参考になるものでした。

コミュニティに対してデータが果たす役割

ミルトン氏がまず取り上げたのは、「なぜデータを収集するのか?」という問いでした。その答えはシンプルです。「より良い意思決定を行うため」です。顧客の成功を起点とし、その成功を支援するために必要なステップを逆算する。この考え方が、コミュニティの構築やその成功を測定する際の指針になります。

コミュニティを評価する際には、以下の2つの質問が重要です。

  • コミュニティは成功しているか?
  • コミュニティ環境は安定しているか?

この2つを基準にすることで、NPS(ネット・プロモーター・スコア)やCSAT(顧客満足度)といった指標、および更新率への影響を測定できます。たとえば、コミュニティ導入後にこれらの指標が改善していれば、そのコミュニティは効果的といえるでしょう。

さらに、ミルトン氏はコミュニティの「安定性」の重要性について強調しました。組織の優先事項や顧客ニーズに応じて、コミュニティが柔軟に進化していかなければ、不安定な状態に陥る可能性があります。安定したコミュニティを維持するには、組織と顧客の双方のニーズを常に意識する必要があります。

コミュニティのエンゲージメントを高める方法

ミルトン氏は、コミュニティ内でのエンゲージメントを測定するシンプルな方法として「質問の数」に注目すべきだと提案しています。コミュニティ内で寄せられる質問の数が増えれば、エンゲージメントが高まっている証拠です。

また、スーパーユーザー(積極的に関与する上位メンバー)の役割も重要です。ミルトン氏はスーパーユーザーを「コミュニティの生命線」と表現し、彼らのエンゲージメントを戦略的に高めることが、コミュニティ全体の活性化に寄与するとしています。

コミュニティの価値を測定する方法

ミルトン氏は、コミュニティの価値を測定するための実践的なアプローチをいくつか紹介しました。

  1. 管理された実験
     あるクライアント企業の例では、コミュニティを一時的に「隠す」実験を行いました。その結果は次の通りです。
     - サポートチケットの件数が58%増加
     - 応答時間が35%増加
     - 顧客満足度が4.3から3.8に低下
     - コミュニティによる年間300万ドル(約4億円)のコスト削減効果が確認される
  2. メンバーと非メンバーの比較
     別のアプローチでは、コミュニティメンバーと非メンバーの行動を比較しました。その結果、メンバーの方が企業との関わりが2倍深く、製品の導入率が33%高いことが分かりました。

データでつなぐ未来のコミュニティ

「顧客がコミュニティに参加した瞬間から、データ収集を開始すべきです」とミルトン氏は述べます。早期からデータを活用して効果測定を行い、それを企業全体の戦略に反映することで、組織の成長を加速させることができます。

リチャード・ミルトン氏の「Community Unplugged」セッションの全内容や、さらなるコミュニティ活用の事例については、ぜひ公式ページをご覧ください。

コミュニティが生み出す価値を、データを通じて最大化しましょう。あなたのビジネスの未来は、コミュニティとともに進化します。