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Land& Expand – 大型商談の受注には欠かせない営業手法

“Land & Expand”という営業手法をご存知でしょうか?アメリカのSaaS企業では広く認知されており、まず小さな契約を獲得し、その後に大きな契約に拡大していく非常に効果的な戦略です。

この手法が注目される理由は、売り手と買い手の両方にとって合理的であるためです。

  • 売り手側が大きな商談を受注しようとすると、どうしても販売サイクルが長くなり、商談を進める障壁も複雑化し、受注までの道筋が見えなくなるケースが多発します。特に、まだ実績のない新規参入企業が大手企業向けに大型商談を受注していくためには、このプロセスを避けては通れません。
  • 買い手側も、実績のない製品を初回から大規模に導入するリスクを避けたいと考えます。まずは小規模で導入し、その効果を確認してから本格的な導入を検討するというステップを踏むのが一般的です。

そのため、Land & Expand戦略は、まず小さく契約を取ることでリスクを低減し、その後に確実に拡大していくアプローチが最も現実的であり、特に新規参入企業が市場に根付くためには欠かせない戦略と言えます。

さらに、最近のビジネス環境では、初回契約から大型商談を成立させることがより困難になっています。特に、顧客が予算の柔軟性を減らしているケースが多く、導入時にまず小規模で試験的にスタートし、効果が確認できた段階で拡大していく流れが一般的です。そのため、初回契約時には規模を抑えつつも、長期的な成長ポテンシャルを意識したアプローチが必要です。

典型的なプロセスを図式化しておきます。

 Land& Expand 実践にあたっての課題

​​理論的には正しいのですが、このセールスプレイにチャレンジしたが、うまくいかなかったという方も多いのではないでしょうか?

Land(初回受注)後、クイックウィンの創出から大型商談に至るまでのプロセスは複雑です。1人の営業担当者だけでこのサイクルを回すことは不可能です。そのため、複数の担当者が連携してサポートするチームセリングが成功の鍵です。このチームセリングを実現するなかでよく直面する課題として下記のようなものがあります。

  • 初回受注からクイックウィンを生み出していくプロセスの中で、初回合意のビジネス価値が薄れる。眼の前の業務課題に引きづられてしまう。結果として双方に方向性を見失うリスク (何のために導入したの?という疑問が湧いてきてしまうのがよくある事象です)
  • チームセリングをしながらも、各メンバーが顧客と取っているコミュニケーションやタスクの状況がよく見えなくなってしまう。特に営業やレベニュー組織の責任者がプロセスの進捗で停滞している状況やリスクを察知できずに次の商談機会が自然消滅してしまう。
  • また、顧客と自社が面と面の関係性を築けていないケースが多くなり、エンゲージメントが不十分になる。

担当者レベルではなく、企業全体としてのつながりを強化し、顧客が自社に対して信頼を持ち、長期的なパートナーシップを築けるかが重要です。

また、初回の導入プロセスが遅延なく進んでいるか、顧客がそこから価値を感じているか、などをチームとして把握しながら課題を共有し適切なリソースを関与させていくことも重要です。

取り組むべきアプローチ

下記におすすめのアプローチを記載します。

1)チームを構成するために必要な要素を洗い出し、全員で攻略のプランを作成・共有する

チームの構成例

2)定期的な顧客へのビジネスレビューを徹底し、そのサイクルと実施状況をモニタリングする

Tips : ビジネスレビューでは先行指標の達成状況を報告するとともに、顧客側のチャンピオンをハイライトできるよう、チャンピオン自身がクイックウィンの成果を報告することの支援を行うことが有効です

エグゼクティブレビューの回し方の解説はこちら

3)顧客との全てのコミュニケーションを自動的に1箇所へ集約し、AIを活用して変化やリスクを検知する仕組みを導入する

4)自社と顧客の階層での関係性を可視化する。

5)関係性が希薄な関係者とは強化するためのプログラムをマーケティング部門との協業で策定する

例:エグゼクティブを巻き込むための、エグゼクティブ向けのクローズドイベントを企画する

例:オンボーディングのタイミングでエグゼクティブを巻き込んだ、共通ゴール設定のためのオフサイトでのワークショップを企画する

まとめ

いかがでしたでしょうか?チームセリングを回すうえで、情報の共有基盤は欠かせない要素です。定量・定性の両面で、全員がいつでも情報にアクセスできる環境を整備しましょう。

さらに、AIを組み込むこと、莫大な情報から効率的に顧客価値につながる示唆をリアルタイムに引き出してくれるでしょう。

興味を持った方は、是非、こちらの詳細をご確認ください。