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2025年念頭所感

あけましておめでとうございます。新年のご挨拶を申し上げます。

昨年、私たちは多くの素晴らしいお客様やパートナー様と出会い、その中でCustomer-Led Growth(CLG)という成長戦略を共に実践している仲間が増えたことを嬉しく思っております。

ともに、急速なAIの進化により、今後数年で既存の業務の多くが新しいプロセスに置き換わることが容易に想像できる時代になっています。特に今年は、AIエージェントの業務への実装が進むことで、多くの既存業務に変化をもたらすことでしょう。この変化はカスタマーサクセスの分野にも大きな影響を与え、新たな可能性を切り開くと期待しています。

一方で、近年、カスタマーサクセスという職種には大きなチャレンジが訪れています。過去には顧客を中心とした価値最大化のアプローチが評価され、多くの期待を集めていました。しかし、残念ながら「カスタマーサクセス」という言葉のもと、契約以降の顧客接点をすべてカスタマーサクセス部門に包括的に委ねることで、大きなコストをかけつつも成果が見えづらい活動となってしまっています。実際に、弊社が米国で実施した調査では、74%の調査回答者がCSチームが燃え尽き症候群に陥っていると回答しています。別の外部調査では、2024年に辞めたい仕事ランキングでカスタマーサクセスが11位に入るという不名誉な結果も出ています。明らかに、カスタマーサクセスという名のもとに、カスタマーサクセスという職種に多くの期待と(多くの場合アナログな)業務が寄せられた結果ととれます。

私たちは、「カスタマーサクセス」という概念自体は普遍的であり、現在も経営戦略の根幹をなすものであると信じています。特に日本においては、2025年には「団塊の世代」が75歳以上になり、国民の約5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会に突入します。限られた働き手が、これまで以上に生産性を高めるだけでなく、付加価値の高い活動を行い、競争力を維持するためには、デジタルテクノロジーを他国以上に高度に活用することが不可欠です。新しいテクノロジーを導入企業と共に活用促進するカスタマーサクセスの重要性が、現在の日本の環境ではさらに高まっています。「導入したが使いこなせなかった」という無駄な費用と時間を投資する余裕は、どの企業にもありません。

このため、今こそカスタマーサクセスのあり方を再定義する必要があります。カスタマーサクセスを契約以降(ポストセールス)の包括的なカスタマージャーニーとして再考し、一部の部門の活動に留まらず、組織全体での協業体制を強化することが求められています。ここにおける変革のキーワードは、以下の2つです。

  1. より少ないリソースで、より多くの成果を上げる「スケーラブルなプロセス」の実現
  2. プロアクティブで個別化された顧客体験の提供

AIをはじめとするテクノロジーの進化が、この変革を支える一年になると確信しています。特に、ポストセールスにおける顧客接点で生み出されるデータの活用は、大きな変化を迎えるでしょう。具体的には、以下のような接点でのデータが考えられます。

  • ユーザーの製品活用ログデータ
  • オンボーディング
  • オンデマンド教育コンテンツ
  • オフライン/オンラインコミュニティ
  • セルフサービス用のナレッジベース
  • 定例ミーティングにおけるCSMとお客様の会話
  • 製品利用に関する問い合わせログ
  • SlackやTeamsでのカジュアルな会話

これらのデータ活用は難易度が高く、接点の可視化を断念し、適切なジャーニーのデザインを行わずにCSMの属人的な判断にすべてを委ねる結果となっています。しかし現在、この課題を解消する時代が到来しています。ジェネレーティブAIやAIエージェントがその役割を担ってくれるでしょう。

弊社では、データとテクノロジーを活用した、製品・サービス販売後のプロセスや、既存のお客様との向き合い方の変革を支援していきます。そのために、今年は、

  • 製品ポートフォリオの拡充
  • 支援体制・人材の拡充

を重点的に強化します。

今年も多くのお客様とともに、顧客主導による持続的なビジネス成長を実現できる機会を頂けることを心より楽しみにしております。